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管理コストの大幅な削減を実現した VFX ポストプロダクションnineteentwenty のNuke Studio 導入事例
既存の枠にとらわれない業務形態の選択
VFX ポストプロダクションの nineteentwenty は、 作品のクオリティを維持しつつ、クライアントにコスト面でのメリットを提供できるようなポストプロダクション プロセスの構築を模索していました。
その答えは、既存の枠組みにとらわれずに企業としての業務形態を考えることによって見出されました。
営業活動やクライアントあるいはパートナーとの打ち合わせなど、都市にオフィスを構えることには多くの利点がありますが、特にロンドンの中心部はオフィスの賃用が高いことで知られています。
nineteentwenty はロンドンとイギリス南西部 ブリストルの二つの場所にオフィスを分散することで、この問題を解決しました。
ロンドンの小規模なオフィスはクライアント訪問やパートナーとのミーティング用に、ブリストルのオフィスはクリエイティブ作業の拠点として使用され、コンポジターや CG チームが寝泊まりしながら作業に励んでいます。ブリストル オフィスの賃料はロンドンの半分程度とはるかに安価でありながら、ロンドンの 3 倍もの広さがあります。
カスタム パイプラインの構築
こうした分散型の制作体制をスムーズに機能させるために、アーティストと VFX スーパーバイザーがショット上でのデータ共有を容易に図りながら共同作業を進めることができる、柔軟でカスタマイズ可能なパイプラインが求められました。
そこで導入されたのが Nuke Studio です。nineteentwenty のビジュアルエフェクト スーパーバイザー兼共同創設者である Ludo Fealy 氏は次のように話します。「私たちにとって Nuke Studio の最大の利点は、ブリストルオフィスとの共同作業が可能であるということです。コンポジターと CG チームのスタッフは全員ブリストルに勤務しており、Nuke Studio を介してシームレスにショットのやり取りを行っています。」
「ブリストルで作業を行うコンポジターはタイムライン上で直接レンダリングを行い、ロンドンではバージョンアップをするだけでその結果を確認することができます。Nuke と Nuke Studio は Python API に対応しているため、出力/同期ツールはエンジニアがカスタムのスクリプトを書いて作成しましたが、他のプログラムではそう簡単にはいかなかったでしょう。」
二つのオフィスは同一サーバーに接続しており、どちらのオフィスでも Nuke Studio のタイムラインで作業結果をインタラクティブに確認することができます。
Nuke の堅牢な出力システムでなければ、こうした複数拠点間でのコラボレーティブなワークフローの実現には困難が伴ったでしょう。Nuke は共有ディレクトリや命名規則の作成を自動化し、チーム内でのショットの共有や複数データの受け渡しを簡単に行うことができます。Fealy 氏 は次のように述べています。「もし、すべてのプロジェクトでショットのインポート / エクスポートをその都度マニュアルで行わなければならないとしたら、作業時間を 2 割延長しなければならなくなってしまいます。」
Nuke Studio の活用
nineteentwenty が最近手がけたプロジェクトのひとつが、清涼飲料メーカー ロビンソンズの TV コマーシャルで、伸びていくストローがジュースの原料を探しに行くというもの。
As VFX スーパーバイザーの Chrys Aldred 氏は次のように説明します。「ストローが単なる無生物ではなく、独自の個性を持った存在である必要がありました。ですから、ストローがジュースの原料を探しに行くという CM の概要を踏まえ、陽気で探求心にあふれた動物を考えるところからスタートし、人間の最高のパートナーである犬、中でもスパニエルからインスピレーションを得たのです。」
「このプロジェクトでは VFX スーパーバイザーを務めたので、演出を担当した Conkerco の2人と密に連携して初期のプリビズからオンセットまで、HDR や VFX プレートをキャプチャし、ポストプロダクションで必要となる素材をすべてそろえた後、 nineteentwenty でアイディアを形にする作業を行いました。」
地理的に分散した制作環境でプロジェクトを完成させるうえで、Nuke Studio は不可欠であったといいます。
「 3Dと合成作業の一部をブリストルのオフィスで行ったので、タイムラインが非常に重宝しました。」 Aldred 氏はいいます。「プレビズ用、スラップコンプ用、作業中の 2D 用など、異なる用途別に複数のトラックで管理することができます。修正が加えられたショットをインタラクティブに更新するだけでなく、タイムラインからコンプ環境にダイレクトにアクセスして、クライアントからのフィードバックをその場で修正するといったことも可能です。」
「 Nuke はタイムライン上で簡単にレンダリングを行うことができるため、ブリストルのオフィスとうまく連携し、編集作業を非常に簡単に行えました。」
nineteentwenty のように分散制作を行うプロダクションにとって、スーパーバイザーからアーティストへのフィードバックを迅速かつ効率的に行うことがきわめて重要だと Aldred 氏は言います。「あらゆるプロジェクトで、ブリストルとロンドンの両オフィスが密接に連携を取りながら作業を進めています。二つのオフィスは専用回線で結ばれており、FaceTime や画面共有を使ってプロジェクトに関するさまざまな事柄について連絡を取り合い、アイディアや知識を共有しています。」
作業効率化の実現
Nuke Studio の導入により nineteentwenty は、グレーディングやキーイング、トランスフォームなどのパワフルな GPU アクセラレートエフェクトを、タイムライン上でリアルタイムに追加することができる Soft Effect のような機能を活用することで作業時間を短縮し、ワークフローの大幅な効率化を実現しました。
こうしたタイムラインツールは、Nuke Studio の中でも特に気に入っている機能だとFealy 氏 は言います。「特に Text エフェクトについては、この機能がなかったら仕事にならないくらいよく利用しています。」
さらに、 Nuke Studio の Python対応アーキテクチャを活用して、作業 時間の 短 縮を 実現する多くのカスタム機能が開発されたといいます。「エンジニアに対して、出力、タイムラインのバックグラウンド レンダリング、ブリストル オフィスへのタイムラインの送信といったタスクを、すべて『ボタンひとつで行えるようにしてほしい』というほとんど不可能と思えるようなリクエストをしたのですが、すべて実現してくれましたよ。」
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