エピソード型アニメーション制作におけるライティング課題:作業の自動化による効率化の実現

ライティングアーティストとして、エピソード型アニメーション制作は非常にやりがいのある仕事だ。ライティングのさじ加減ひとつで雰囲気が変わり、キャラクターの個性を生き生きと表現し、背景セットの細部まで際立たせることができる。しかし、そこには多くの課題がつきものであることも事実だ。

必要とされるショット数が膨大で、その結果反復作業が多く発生するエピソード型アニメーションにおいては、ワークフローを最適化し、作業時間の短縮を図ることが必至だ。

本記事では、作業時間の短縮方法や他のアーティスト、部門間で効率的かつ迅速なコミュニケーションをとる方法について詳しく説明し、よりスマートに作業を行うための実践的なコツを2つ紹介する。

さっそく、エピソード型アニメーションの一見困難な課題をどう解決するか、一緒に考えてみよう。

効率的でスムーズな作業をサポートするKatana

エピソード型アニメーションに携わるライティングアーティストにとって、最大の課題のひとつは時間管理である。他部門すべてのアセットが更新された後、ライティングアーティストが残業しなければならないのは日常的なことだ。パイプラインの構造上、ライティングアーティストはアセットの準備が整うまで待つ必要があり、それからフィードバックに基づくアクションを実行し作業を完了させる。では、どうすれば早く帰宅しながら、クオリティの高い映像制作が実現できるのか。

パンデミックの影響からここ数年で勤務形態が変化し、多くのスタジオがハイブリッドやリモートという働き方を選択している。こうした変化で「早く帰宅する」というのはそのまま当てはまらないが、パイプライン上流工程からのアセット更新を待つデッドタイムの問題は依然として存在する。デッドタイムが解消され、部門間のシームレスなコラボレーションが可能になれば、プロジェクトの更新はもっとスムーズに行える。これを実現し、より効率的でスマートな作業をサポートするのがFoundryのライティングツールKatanaだ。

Katanaは、非常に複雑なシーンでも瞬時に読み込むことが可能だ。これは、必要に応じてファイルを読み込むことができるディファードローディングによるもので、Katanaが他のライティングツールと一線を画す点だ。シーンを構築するKatanaのノードには、データの取得元や既存データの変更等、ノードごとに具体的な情報が格納されている。複数のショットを扱わなければならない場合でも、一つのプロジェクト内で複数のショットを管理することができるため、個々のプロジェクトを開く必要はなく、ディファードローディングにより、あらゆるアセット(静的モデル、アニメーション、FXなど)の読み込みをコントロールできる。そのため、ショット数が200以上におよぶプロジェクトを、シングルショットと同じくらいのスピードで読みこむことができてしまう。時間を節約できるのは、こうしたワークフローのおかげだ。

テンプレートもKatanaを使いこなすうえで有効だ。テンプレートは面倒なタスクを自動化するのに便利で、時間を節約したい場合にはきわめて効果的であり、作業の標準化にも役立つので、組織的な観点からも実用的だ。

Katana Recipe

エピソード型アニメーションに限らず、タスクを遂行するために必要な反復作業は常に存在する。レンダリング設定やアセットの追加、あるいはレンダリングの実行に必要な部分など、テンプレートを構成するのがノードと言える。レシピに例えれば目指すレンダリング結果を得るための具材と言えるし、バリエーションを作成するためにモディファイすることも可能だ。

テンプレートの実用性の高さを理解したうえで、さらなる時間節約について考えてみよう。特に繰り返しが重要なエピソード型アニメーションのプロジェクトにおいては、一度発生した問題が再発するのはよくあることだ。Katanaのマクロ機能を使用すれば、解決した問題を「パッケージ化」しておくことで、後々同様の問題が発生したときに呼び出して解決することができる。マクロは任意の単一ノード、あるいはグループ化されたノードで、その状態をパブリッシュしておけば他のプロジェクトでも利用可能だ。

さらに、チーム全体で時間節約を実現できればなお素晴らしい。LiveGroup機能を活用すれば、他のアーティストと同時に作業ができるようになり、同一シーンの並行作業も可能だ。Katanaはノードベースであるため、作品間、シークエンス間、ショット間でノードを共有することができ、LiveGroupを使用して、チーム内、あるいは他部門間での共同作業も思いのままだ。

時間節約のヒント

ここまでKatanaの優位性について紹介してきたが、公平を期すために、使用するライティングツールを問わずに活用できる時間節約のためのヒントやコツを紹介しておこう。より早く、スマートに作業をこなすために欠かせないことは、ショットの再利用できる部分を活用することだ。そのうちの2つについて、説明しよう。

一つ目はセットドレッシングで、エピソード型アニメーションにおいては、セットドレッシングを効果的に再利用することもできる。セットドレッシングは雰囲気作りにおいてきわめて重要な要素であり、適切な色やテクスチャを選択し、適切なライティングを施すことで、シークエンスの背後にあるメッセージを表現することができる。例えば、寝室のシークエンスからシャンデリア、キャンドル、ランプを取り出して、廊下のシークエンスで再利用するといった具合に、特定の環境のセットドレッシングからエレメントを取り出し、別の設定での再利用が可能だ。その結果、時間を節約することができると同時に、一つの部屋だけでなく、話の舞台となる家全体で、大局的にセットドレッシングの一貫性を保つことができるわけだ。

Katana Chandelier

二つ目は、アニメーションゴボを利用することで、レンダリング時間の短縮を図ることだ。例えば橋の下を流れる水面に太陽が反射するエフェクトを考えてみよう。もちろん、ライティングアルゴリズムやレンダラーにすべての処理を任せることもできるが、負荷が高く、限られた予算と時間では難しいかもしれない。代わりに美しい波紋エフェクトに似たアニメーションテクスチャを使用すれば処理を軽減可能だ。貴重なレンダリング時間を節約し、本来のライティングに集中することができる。

優れた作品制作のために

これまでエピソード型アニメーションプロジェクトに関わるあらゆる事柄について紹介してきた。マクロやテンプレート、LiveGroupなどのKatanaの機能を使用することで、ライティングに関わる作業時間を短縮できる。私たち、Foundryのゴールは、アーティストのクリエイティブプロセスに向けたソリューション、ヒントやコツ、あるいはアドバイスを提供し、インパクトのある、感動的で美しいエピソード型アニメーションが作り続けられることに貢献することだ。

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