Katana の現在、そして未来
カスタマー事例に見る Katana の進化と2019 年の展望
Katana は 2018 年、Hydraベースのビューポートを搭載、マルチスレッド化されたレンダープラグインによるレンダリング時間の大幅短縮、高速かつ使いやすい3Delight レンダラーの搭載など、多くの進化を遂げました。
その開発に伴い私たちは多くのスタジオから話を伺い、Katana が制作ワークフローにもたらした影響や投資効果、そしてワークライフバランスに至るまで作現場の生の声を聞くことができました。
ここでは、そうしたユーザーの声をまとめて紹介しましょう。
ワークライフバランスの向上
長年にわたり、長時間労働や深夜までの残業は、VFX やアニメーションの制作現場に不可欠であると考えられてきました。クリエイティブな業界で憧れのポジションを勝ち取るためには仕方がないことであると、広く受け入れられてきたのです
しかし、プライベートを犠牲にせずとも憧れの仕事ができるとしたらどうでしょう。こうした状況の改善に Katana が大きく貢献していると多くの声が集まりました。
Spin VFX で CG スーパーバイザーを務める Mahsa Ghorbankarimi 氏は次のようにコメントしています。「私を含めたライティングチームのこの2週間での残業は、せいぜい 2〜3 時間程度です。毎晩決まった時間に帰宅することができています。」
自作長編映画の製作にあてる時間ができて脚本、監督、編集のみならず、役者として自ら出演までこなしているそうです。Katana のスピード・信頼性により効率化が向上し作業時間を大幅に短縮できた結果と言えるでしょう。
TV 番組用CG 制作における Katana の活用
Katanaは近年、長編映画制作用ルックデベロップメント / ライティング ツールとして確固たる地位を確立してきましたが、TV ドラマシリーズ『シャナラ・クロニクルズ』のようなTV 番組用の CG 制作にも広く活用され、SPIN VFX のような中規模制作スタジオにも高く評価されています。
柔軟性と拡張性、スピードを兼ね備えた Katana は、TV 番組制作に求められる厳しい納期に対応できる理想的な選択肢と言えます。
SPIN のスーパーバイジング プロデューサー Josa Porter 氏によれば、「主な課題の一つが納期です。テレビの映像表現は映画と同等レベルにまで向上していますが、納期は厳しくなる一方で、準備や実制作、課題解決のプロセスは映画と大きく異なります。」
シームレスなワークフロー構築とパイプラインの拡張に対応可能なツールを選択することが、こうした課題解決の鍵となります。「柔軟性が高く拡張性に富んだ Katana のようなライティング / ルックデベロップメント ツールをMari や Nuke と併用し、パイプラインの効率化を実現することにより、クライアントの高まるニーズに対応することができるようになりました。TVドラマシリーズの制作においては、スムーズな作業進行、アイディア検討の効率化、スピーディなフィードバックを図ることがきわめて重要です。」
Katana によるTV 番組用CG 制作の効率化について詳細を見る。
クリエイティビティの解放
スピードや拡張性に加え、アーティストのクリエイティビティを最大限に引き出すこともツールに求められる重要な要素の一つです。
ブルガリアに拠点を置く Bottleship VFX の創立者である Hristo Velev 氏は、これこそ Katana の最大の強みの一つだと言います。「アーティストは、面倒なデータ管理に煩わされることなく、クリエイティブな作業に集中したいと考えています。」
「Katana ではライティング設定を下流ノードに即座に反映させることができます。マルチショットのライティング作業を極めて効率的に行え、予算規模とスケジュールを保ちながらより質の高いショット制作が可能です。」
Katanaはアーティストがクリエイティビティを思う存分発揮し、本来のライティング業務に集中して取り組むことができるようデザインされています。
Bottleship VFX における Katana 活用事例の詳細を見る。
小規模スタジオにおける Katana 活用のメリット
Pixar や ILM などの大手スタジオが、Katana を活用して高品質な作品をスピーディに制作しているのは周知の事実ですが、Katana 導入による計り知れない投資対効果を実感する小規模スタジオが少なくないことはあまり知られていません。インドネシアのジャカルタに拠点を置く Cinemasphere も、そうした小規模スタジオの一つです。
Cinemasphere で TVC 映像ディレクター兼 VFX スーパーバイザーを務める Amrin Nugraha 氏は、小規模スタジオが仕事を獲得する際に直面する最大の壁は、人的資源の不足だと言います。
LM や Pixar は厳しい納期に対応するために大勢のアーティストを雇うことができますが、Cinemasphere には 9 人しかスタッフがいません。
そうした状況においても資金投入は難しいため、何より重要となるのが効率性です。「TVC 映像ディレクター、VFX スーパーバイザーとしての 20 年の経験の中で、これほど人的資源が限られた環境で仕事をするのは初めてです。」
「Katana によってアーティストの待ち時間は無くなり、短時間でより多くの作業をこなすことができるようになりました。結果的に投資効果 の向上にもつながっています。」
Cinemasphere における Katana 導入事例
2018年、Katanaはスタジオ規模の大小を問わない幅広い導入が進みましたが、Katana の講義を実施する大学などの教育機関も増加しています。 MPC や Framestore といったスタジオで働くことを夢見るルックデブ / ライティングアーティストの卵たちが、Katana を学び技術を習得しているのです。 Animal Logic Academy (ALA) では、ショートアニメーション プロジェクト The Colour Thief でルックデベロップメント/ライティングツールとして初めて Katana が採用されました。 ALA のテクニカルリード Daniel Flood 氏は次のようにコメントしています。「ALA では Katana 3 を早期に採用、プロダクションに統合し、大規模セットのローディングや処理を行う上で新たに搭載されたHydra ビューポートがきわめて有効であることが分かりました。 安定性や拡張性、導入の容易さの観点からも、大学という教育機関でKatana を扱うことについては非常に肯定的に考えています。」 「次世代のVFX アーティストを育てる」という活動の一環としてFoundry は 2018 年、高速レンダラー 3Delight を搭載した Katana を Education Collective に追加、業界最先端ツールセットの提供を通じて未来のルックデベロップメント / ライティングアーティストを養成する教育機関を支援しています。 ALAにおける Katana を活用した学生プロジェクトの詳細を見る。 2018 年、目覚ましい進化を遂げた Katana。今年はどのような1年になるのでしょうか。 Hydraベースのビューアについては多くの更新や改善が予定されており、ワークフローの中心になることが予想されます。2019 年初めにはシェーディングノードのリリースを予定しており、パフォーマンスについても更なる高速化を見込んでいます。 ファウンドリはお客さまの声に積極的に耳を傾けそのニーズに的確に応えるべく、日々努めています。今後も Katana は、スピードとアーティスト ワークフロー、優れた拡張性をテーマとした開発を進めてまいります。未来のVFX アーティストの育成
2019 年 Katanaの展望