禁煙補助薬 CHANTIX のCMキャラクター制作 - The MillにおけるMari、Nukeの活用
リアルなCG七面鳥の再現
禁煙補助薬CHANTIXのCMキャラクターは七面鳥。もちろんただの七面鳥ではなく、禁煙に励むCGの七面鳥です。キャラクター制作を任されたThe Millは、MariとNukeを活用して1000枚にも及ぶ七面鳥の羽を一枚一枚CGで描き、実物の自然な見た目や動きを見事に再現、愛すべきキャラクターを作り上げました。
制作に先立ち、クリエイティブディレクターのJeffrey Dates氏は、キャラクターのデザインと個性を数案用意しました。中には、人気コメディ俳優がベースになったものもあったといいます。「初期段階ではBill Murrayを参考にした部分がかなりありました。『Bill Murrayだったら、どんな風に芝生に水やりするだろう?』『どんな風に芝を刈るだろう?』といった具合に。」
こうしたインスピレーションをもとに、作品のキャラクターにふさわしい個性が固められ、作業はいよいよCGモデルの作成へと進行していきました。
愛されるキャラクター作り
動きをリアルに再現するだけではなく、見る人の共感を呼ぶようなキャラクターを作り上げるうえで、七面鳥の外見表現はきわめて重要なポイントでした。
「最大の課題はリアルとアニメーションの程よいバランスを保つことでした。」VFXスーパーバイザー/ 3DリードアーティストのKevin Ives氏は言います。
そこで力を発揮したのがMari でした。
「七面鳥を生きているように表現するために、テクスチャはすべてMariを使ってハンドペイントで細部にいたるまで詳細に描きました。」Ives氏は次のように続けます。「albedo、SSSデプス、羽の縞模様などあらゆるマップをペイントし、何度も微調整を繰り返しましたが、直感的な操作が行えるMariのおかげでスムーズに作業を進めることができました。」
また、MariはUVノードに関係なくジオメトリにテクスチャを直接ペイントすることができ、カスタマイズが容易なデフォルトのブラシや左右対称ペインティング機能と併用すれば、クリエイティビティを保ちながら、よりスピーディーかつ効率的な作業が可能です。
こうしてみると、MariがIves氏にとって主力ツールである所以が容易に理解できます。
「テクスチャワークフローにMariを取り入れてから10年は経過していますから、Mariなしでの作業はもう考えられません。いまやキャラクタールックデブにおける基盤ツールとなっています。」
数え切れないほどの微調整を繰り返して膨大な羽のルックデブを終え、七面鳥は完成にこぎつけたわけですが、完成したルックをシリーズCM間でどう維持していくかという新たな課題が待ち受けていたのです。
背景制作
この課題に対応できたのはNukeがあったからこそだと2DリードアーティストのMarco Baratto 氏は言います。「Nukeのおかげで、チーム内、シリーズCM間でのツールセットの共有やCGの修正内容の一元管理が非常に容易に行えました。」
このCMシリーズではメインキャラクターの七面鳥がキャンプや泳ぎに出かけたり、ビーチで1日を楽しんだり、さまざまな背景で各篇が展開されますが、七面鳥のキャラクターを毀損することなく、見る人が明るく楽しい気持ちになれるような背景作りが重要でした。
「カメラの移動速度が遅いので、Nukeの3D環境に正確なジオメトリやポイントクラウドのセットを作成しやすく、シーンのリライティングをするように、プロジェクションで背景を容易に、そして正確に置き換えることができました。」Baratto 氏は続けます。
「状況次第でディープコンポジティングを使用してホールドアウトのマットを作成し、七面鳥とエフェクトを正確にコンポジットすることもありました。」
アートと親しみやすいキャラクターの個性が見事に融合したCG七面鳥のおかげで同広告キャンペーンは好評で、制作チームの努力が報われた形となりました。
Dates氏は次のように話します。「キャンペーンを通してキャラクターの認知が広がり、さらに新しい作品を一緒に作り出していけるのは、映像制作の仕事に携わっている私たちにとって非常に喜ばしいことです。」
七面鳥CMシリーズはこれまで7作が制作され、今後2作の制作が予定されていますが、禁煙に励む七面鳥のキャラクターは今後も私たちの記憶に残ることになるでしょう。CHANTIXのCMはこちらでご覧いただけます。
Mari と Nuke の 無償体験版は下記よりダウンロードが可能です。