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Foundry、Nuke 16.0をリリース
次世代のコンポジットワークフローを実現する変数対応マルチショット機能
アーティスト向けのアップデートにより、大規模なロトスコープ作業の高速化、ノードグラフの操作性向上、レビューの効率化を実現
刷新されたタイムラインツールにより、ショットの承認と納品をより迅速かつスムーズに

メディア&エンターテインメント業界向けのクリエイティブソフトウェア開発をリードするFoundryは、Nuke 16.0をリリースしました。本バージョンでは、レビューの高速化と反復作業の削減を実現し、コンポジットおよびレビューのワークフローを大幅に刷新。パイプラインの効率を向上させ、制作現場の負担を軽減します。
次世代のコンポジットワークフロー
Nuke 16.0では、アーティストが反復作業に費やす時間を減らし、クリエイティブな作業に集中できるよう、ネイティブな変数対応ワークフローを導入。これにより、マルチショットコンポジットがNukeの標準機能としてシームレスに統合され、より直感的な操作が可能になります。大幅に強化されたこのコンポジットワークフローにより、同じスクリプト内で複数のショットに対する変更を一括適用できるようになりました。その核となるのがGraph Scope Variables(GSV)。この強力な機能を活用することで、複数のショット、シークエンス、バリエーションを効率的に管理でき、従来のようなスクリプトの複製が不要になります。
Foundryのコンポジット&フィニッシング部門のプロダクトディレクターであるJuan Salazarは、次のように述べています。「Nukeはもともと単一ショットのコンポジットワークフローを前提に開発されました。リリースから25年以上が経過し、制作スケジュールはますます厳しくなり、ショットの数や複雑さも増しています。我々の目標は、コンポジターの負担を軽減し、アーティストとしてのクリエイティブな作業により多くの時間を割けるようにすること、そして手作業でのショット修正に費やす時間を削減することです。Nuke 16.0に搭載されたマルチショットワークフロー機能は、スタジオの規模を問わず、新たな制作スタイルを実現する画期的なツールとなるでしょう。」
スピードと柔軟性を兼ね備えたコラボレーションとクリエイティブコントロール
Nuke 16.0では、ノードグラフ、BlinkScript、タイムラインの操作がさらに高速化。チームのコラボレーションと作業効率が向上しました。
ロトスコープ機能の強化により、大規模なロトスコープ作業時のパフォーマンスが向上しました。再生速度の改善、モーションブラーの強化、インタラクティブな操作性の向上により、よりスムーズで直感的な作業が可能になります。ノードグラフの操作性も向上し、アーティストはタブを開かずにグループノードの内容を直接確認・編集できるようになりました。また、新たに追加されたLinkノードにより、複数のノードの変更をリアルタイムで同期でき、作業効率が大幅に向上します。
さらに、フィードバックループの大幅な強化により、VFXスーパーバイザーやVFXエディターは、Nuke StudioやHieroのタイムライン上でショットをより迅速に承認・納品できるようになりました。新たに導入されたマルチチャンネルソフトエフェクトにより、ショットのプレビューやクリエイティブな意図の伝達が容易になり、コンタクトシートを活用することでショット比較もスムーズに行えます。また、クイックエクスポートの導入により、タイムラインからのエクスポート速度が最大12倍向上し、ワークフローのさらなる効率化が実現しました。
BlinkScriptの機能も強化され、より直感的で使いやすくなりました。このアップデートにより、アーティストはコードの記述や編集、デバッグをスムーズに行え、カスタムエフェクトの作成がこれまで以上に簡単になりました。
FoundryのChief Product OfficerであるChristy Anzelmoは、次のように述べています。「Nuke 16.0の新機能は、コンポジットとレビューのワークフローを大きく進化させ、日々の作業プロセスを一新します。私たちの最優先事項は、アーティストやチームが誇りを持てる作品をスムーズに制作できる環境を提供することです。煩雑な作業を減らし、より創造的な工程に集中できるよう支援します。」
Nuke 16.0の新機能一覧
マルチショットワークフロー
- Graph Scope Variables: 複数のショットやスクリプトの特定の範囲に適用できるコンテキスト(設定)を作成し、効率的に管理できるようにする。これにより、変数を使って1つのスクリプトを複数のショットやシークエンス全体に適用できる。
- 変数パネル: 複数のショットを扱う際に、スクリプト内の利用可能な変数を一覧表示し、アーティストが直感的に操作できるようにするパネル。
- VariableSwitchノード: Switchノードと似ていますが、マルチショットワークフローで設定された変数に基づき、ショットごとに処理を振り分けたり統合したりするワークフローを構築できるノードです。
- VariableGroupノード: 変数を扱うための便利なノードグラフのグループ化機能。
- LiveGroups内でのGSV: 1つのグループを複数のスクリプト間で共有でき、他のアーティストが同じスクリプト内の異なるセクションやショットを並行して作業可能。
- GSV コマンドラインレンダー: コマンドラインで変数を指定し、異なるショットをレンダーファームに送信可能。
アーティストツール
- Groupノードの内部ビュー: ノードグラフ内で、グループおよびLiveGroupの内容を直接確認・編集可能。
- Linkノード: ノードのリンクコピーを作成し、一方を変更するともう一方にも自動で反映。必要に応じて各ノブの設定を個別に上書き可能。
- ロトスコープのパフォーマンス向上: 大規模なロトスコープ作業における処理速度を改善。再生速度、モーションブラー、インタラクティブ性が向上。
3Dシステム (ベータ版)
- コアノードの改良: アーティストのフィードバックを反映したUIの改良に加え、新しいスナップコントロールの導入により、ジオメトリやピボットの操作がさらに高速化。
- GeoConstrainノード: 新しい制約タイプを追加され、フェイスや頂点への制約設定、時間や空間内でのオフセット調整が可能に。
- GeoXformPrimノード: USDステージ内でXform(変換)を作成・編集し、シーン管理を効率化。
- ScanlineRender2: 新しいレイトレーシングベースのアーキテクチャを採用し、サンプリング、モーションブラー、AOV出力などを改良。
- USDバージョン24.05: パイプラインの統合をスムーズに維持。
BlinkScript
- 新しく改良されたBlinkScriptエディタ: フォーマットの調整、エラーハンドリングの強化、キーボードショートカットの追加などにより、カスタムエフェクトの作成がこれまで以上にスムーズかつ直感的に。
- BlinkScript ライブラリファイル: アーティストは、共通の処理向けに独自の関数を作成し、それらを複数のBlinkScriptで利用可能に。
- BlinkScript Safety Rails: 基盤プロセッサ上で直接実行すると問題を引き起こす可能性のある処理を検出し、レポート。
タイムラインツール
- クイックエクスポート: タイムラインからのエクスポート速度が最大12倍向上。
- マルチチャンネルソフトエフェクト: マスク対応のソフトエフェクトが新たに追加され、タイムライン上でのショットの試写や、アーティストとのクリエイティブな意図の伝達がよりスムーズに。
- コンタクトシート: ショットレビューを効率化する柔軟なビューイング環境を提供。PickモードとTagモードの2つのモードから選択可能。