Nuke 15.0 と 14.1はなぜ同時リリースされたのか
昨年10月、Nuke15.0 と 14.1がリリースされました。この記事では、2バージョンが同時リリースとなった背景についてご紹介します。
Nuke は、v14.0からv14.1/15.0のリリースまでの間、合計30件のアップデートが行われました。Foundryは、メジャーリリースで追加される新機能や拡張機能の開発だけでなく、お客様からのご意見やフィードバックを製品に積極的に反映させるべく日々努めています。私たちの目標は、フリーランスのコンポジターから制作現場のスーパーバイザーやテクニカルディレクターに至るまで、NukeをあらゆるVFXユーザーにとってもっともパワフルなツールにするべく、継続的に形作り、強化していくことです。
この目標が、2つの新バージョンを同時にリリースするという決断につながったのです。私たちは、現場とアーティストの双方のニーズに合わせた製品を、妥協することなく提供したいと考えています。
CentOSが 2024年6月にサポート終了を迎えるにあたり、Nuke 15.0ではCentOSがRocky 9に置き換えられ、VFX Reference Platform 2023に対応しています。多くのソフトウェアがこのガイドラインに従って開発されているため、多くの現場で大規模なシステム移行が必要になります。
Nuke 15.0 と 14.1がデュアルリリースされたことで、CentOS 7とVFX Reference Platform 2022を使用したプロジェクトでも、Nuke 15.0の新しいパフォーマンスアップデートやワークフローの改善によるメリットを享受することができます。
Rocky 9へのスムーズな移行を実現
2つのバージョンの同時リリースにより、Nuke 14.1にアップデートすることで、強化されたワークフローと効率的なレビューセッションを実現可能です。アーティストは既存のプロジェクトを完了させることができると同時に、パイプライン開発者は新しいバージョンをテストし、新しいOSやワークフローへの移行の準備を段階的に行えます。
このリリースのアップデートにより、Rocky 9へのパイプライン全体の移行の準備に十分な時間を確保し、関係者全体が新しい環境にスムーズに適応できるようになります。
Nuke 14.1を使用して、VFX Reference Platform 2022およびCentOS 7で実行中のプロジェクトを完了させることができ、Rocky 9への移行の準備が整い次第、VFX Reference Platform 2023を完全にサポートしているNuke 15.0を利用してパイプラインの移行が容易に行えます。
その他の新機能とOpenAssetIO
Nuke 15.0 & 14.1デュアルリリースのその他の新機能には、処理速度を最大20%高速化するAppleシリコンのネイティブサポートや、新しい3Dシステム(ベータ版)の継続的な進化が含まれます。さらに、Nukeの機械学習ツールCopyCatのトレーニング速度が最大2倍向上しました。
Nuke 15.0 & 14.1には、パイプライン統合をサポートし、ワークフローを合理化するOpenAssetIOの技術プレビューも含まれています。Foundryによって開発されたこのツールおよびコンテンツ管理システムのオープンソースの相互運用性標準によって、アーティストは必要なアセットを容易に検索、特定することができます。
USDのアップデート
このデュアルリリースには、USDベースの3Dシステムの改善も含まれており、現在、アーティストがテストしてフィードバックできるように、以前の3Dシステムと並行してベータ版で実行されています。Universal Scene Description (USD) は、3 Dコンピュータグラフィックスパイプラインのデータをパッケージ化、共有、および操作するためにPixarによって開発された、堅牢でスケーラブルなオープンソースのフレームワークです。
Nuke 15.および14.1では、USDがバージョン23.05にアップデートされました。USDベースのアプローチを採用することで、アーティストはより大きなアセットやシーンをNukeに持ち込むことができます。また、USDはNukeに限らず、ライティング/ルックデブツールのKatanaやデジタル3DテクスチャーペイントソフトウェアのMariなど他のツールも、この重要な業界標準をさらにサポートすべく進化を続けており、ワークフローをより効果的に統合することができます。
Nuke 15.0 & 14.1 の詳細については下記よりご確認ください。