レビューワークフローの手引き
効率的なレビューワークフローを持つことは、あらゆるコンテンツ制作の鍵である。
パイプラインの他の部分にばかり注目が集まり、レビューワークフローは複雑であるという思い込みによってさらに敬遠されがちだが、適切なツールセットを選べば、レビューはそれほど面倒ものではない。
Nuke Studio、Hiero、HieroPlayerを使用することで、レビューワークフローにおけるアーティストのクリエイティブなコントロールと柔軟性が高まり、スーパーバイザーは、プロジェクトメンバーの作業管理を確実に行えるので、クオリティの高いコンテンツ制作を実現することができる。Nukeのレビューソリューションは、部門間のコミュニケーションとコラボレーションをサポートし、パイプライン効率化を図るものだ。
本記事では、レビュープロセスの概要と、Nuke Studio、Hiero、HieroPlayerによるワークフローの改善について紹介する。
効率的なレビュー
レビューといっても、ショットやシークエンスのレビュー、マルチショットのレビュー、部門横断的なレビューなどさまざまだ。また、アーティストの作業スタイルは各人各様であるため、信頼できるソフトウェア、特にそれぞれの現場の規模やニーズに合うソフトウェアを見つけることは難しい。
コンテンツの複雑化が進むなか、スタジオはより高度なプロジェクトに取り組まなければならない一方で、時間的な制約や場合によってはリソース不足にも直面している。スタジオは、効率的な方法で完成度の高い作品制作を実現しなければならないわけだが、そうしたプロセスを可能にするのがマルチショットワークフローだ。
Nuke Studio、Hiero、HieroPlayerにより、パイプライン内のコンポジターやその他のアーティストは、ショット、バージョン、シークエンスを簡単に比較して、作業の一貫性を確保することができる。
HieroとNuke Studioに搭載されているアセット管理システムへの配信機能により、アーティストは、Nukeファミリー全体で使用されているPython APIを使用して動的に作成されたショットやタイムラインを確認することで、アニメーションやVFXを多用したプロジェクトをより柔軟に管理できるだけでなく、複数のショットの作業やレビューも容易に行える。
VFX編集の流れの中でのレビューはレビューワークフローの重要な部分だが、HieroPlayerをNuke StudioやHieroと統合すれば、その作業もよりスムーズに進む。スーパーバイザーとアーティストがタイムラインを共有できるので、レビュー内容の可視性が高まり、ショットの流れの把握も容易だ。アセット管理システムにこうした柔軟性が相まって、ワークフローのニーズに対応するとともに、タイムラインを介したよりコラボレーティブな作業が実現できる。
オールラウンドなツールセット
Nuke Studio、Hiero、そしてHieroPlayerは、アーティストとスーパーバイザーに効率的なレビューワークフローを実現する包括的なツールセットを提供し、プロジェクトの効率的な管理と視覚化を可能にする。これは、レビューワークフローにおいてきわめて重要な部分だ。
インジェストとレビューのワークフローをつなぐHieroにより、パイプラインへのプロシージャルなプレートのインジェストや、デイリーセッション時のスーパーバイザーやアーティストによるレビュー用のプレイリストやシークエンスの作成など、VFXエディターは必要に応じてチームにサポートを提供することができる。
デスクトップレビューツールのHieroPlayerは、ショットやシークエンスを再生し、編集の流れの中で容易にレビューが行える。また、他のアーティストと効率的にコラボレーションし、スーパーバイザーからの迅速なフィードバックを得ることができる。
HieroとNukeXの全機能にアクセスできるNuke Studioは、複雑な作業にも対応が可能。スーパーバイザーは、追加したソフトエフェクトをNukeスクリプトに直接渡すことができるため、チームでの共有が容易で、Nukeのノードグラフを設定してより複雑なフィードバックやスラップコンプをアーティストに配布することもできる。
アノテーション機能により、ショットベースでビューアに直接書き込みや描画が行え、わかりやすく視覚的な方法でメモを追加して、他のチームメンバーと簡単にコメントを共有することが可能だ。シンクレビューも、レビュープロセスで重要な役割を果たす。チームがリモートで接続できるため、プロジェクトのレビューや、必要なアクションの同期を共同で行うことができる。これは、ハイブリッドワークフローへの移行過程にあるチームにとって大きなメリットだ。
ツール間でPython APIを共有することで、Nuke Studio、Hiero、HieroPlayerをアセット/ショット管理システムに接続し、動的に作成したタイムラインをパブリッシュし直してプロジェクトの進行をスムーズに行ったり、作業方法に合わせてカスタムツールを作成するなど、ニーズに合ったカスタムワークフローを作成できる。
OpenColorIO、OpenTimelineIO、EXRなど、業界標準に基づいて構築されたNukeのレビューツールは、レビューワークフローを強化し、迅速かつ効率的に作業を行うために必要なすべてを提供するように設計されている。
レビューワークフローをはじめよう
ショットとシークエンスの一貫性とクオリティを確保しながら、プロジェクトの最終納品までをカバーし、高品質のVFX制作を可能にするレビューワークフローは、ポストプロダクションプロセスにおいて不可欠な要素だ。私たちFoundryはこのことを念頭に置き、効率的なレビューワークフローを実現するうえで必要なツールを確実に提供することをミッションに、ソフトウェア開発に継続的に取り組んでいる。Nuke Studio、Hiero、HieroPlayerは、既存のソフトウェアをアップグレードする場合でも、レビューソフトウェアをこれから使い始める場合でも、柔軟なパイプライン統合、コラボレーションの強化、ニーズに合わせて拡張可能なパワフルなワークフローを提供する。