Nuke Studio、Twin Pinesの大型プロジェクトに貢献
急成長を遂げるマドリードのVFX拠点の一翼を担うVFXスタジオTwin Pinesは、VFXを駆使したスクリーン上のストーリーテリングに情熱を持って取り組んでいる。Twin Pinesの名前は、80年代の大ヒット映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、デロリアンがツインパインズモールの駐車場から初めて1995年へとタイムトラベルに出発した、象徴的で視覚的にも見事なシーンに由来するものだ。
マドリードのポストプロダクション業界が繁栄を続ける中、Twin Pinesは、Nuke Studioが提供する合理化されたレビュー、効率性、一貫性を活用し、ますます複雑化するプロジェクトを次々に獲得している。
2008年に設立されたTwin Pinesは、NukeのタイムラインツールであるHieroとHieroPlayerを組み合わせたNuke Studioを、設立のわずか数年後に使い始めた。Juanma NogaleとAna Rubioの両氏は、数年間フリーランスとしての経験を経て、フリーランスが本当に働きたいと思うようなスタジオを立ち上げたいと考えた。チームが特に情熱を注げるプロジェクトだけを請け負うことは、品質へのこだわりや働きやすい環境の醸成とともに、スタジオの哲学の重要な部分を占めている。その結果、わずか3台のワークステーションとともにたった2人でスタートしたTwin Pinesは、47人のアーティストと10人の制作スタッフからなる有能なチームへと着実に成長し、手がけるプロジェクトは拡大し続けている。
Twin Pinesの共同創業者であるAna Rubio氏は、「VFXは、私たちに映画の魔法を感じさせてくれるものです。ポストプロダクションは映画全体を構成する要素の一部に過ぎませんが、VFXによって、現実世界とは異なる想像力豊かな世界を表現することができ、見るものの映画体験を豊かにし、感動へと導くことができる時代になっています」と言う。
Twin Pinesは、スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞で、歴史ドラマ『Akelarre』(2020年)、『Modelo 77』(2022年)で最優秀特殊効果賞を含む数々の賞を受賞した。
『Akelarre』が監督の感性やスタイルが反映された少人数のキャストによる作品である一方で、はるかに大規模な『Modelo 77』では、3Dで都市環境や群衆が再現され、VFXを介したストーリーテリングを実践しており、作品制作の幅は多岐にわたる。NetflixやAmazon Prime向けのタイトルも複数手がけ、スペインとアメリカの合作による連続ドラマ『La Fortuna』やApple+のSFドラマ『See』など、国際的なプロジェクトにも貢献している。
成長するVFXハブとしてのマドリード
Twin Pinesは成長を続けるスペインの首都マドリードのVFX業界のパイオニアのひとつだ。マドリードは長い間、スペインの映画やテレビの技術的、芸術的な中心地であり、この街のポストプロダクションの専門知識を求める国際的プロジェクトが増加するにつれて、その認知度も増している。市内にはNetflixのヨーロッパ初の制作拠点があり、需要の増加に対応するために2022年に拡大された。撮影地として非常に多彩で人気の高いマドリード地域では、2022年には、前年比16.2%増の950件以上のプロジェクトの撮影が行われた。
この急増は、継続するVFXへの需要の高まりを示唆しており、その結果スタジオ間のコラボレーションも活発化している。「国内外を問わず、多くのプロダクションがスペインのVFXを頼りに作品制作を行なっています」とRubio氏。「スペインのポストプロダクション業界は、互いに協力して成長しています。自分たちの成功が仲間の成功につながるという精神で、業界全体が向上し、成長することを目指しています」。
Nuke Studioの導入
VFXの需要が高まり始めた頃、より大規模なプロジェクトを手がけるようになったTwin Pinesは、パイプラインを構築するためのオールインワンツールを必要とするようになった。それまでは、プロセスの各工程でさまざまな非連携ツールを使用しており、その多くはVFXに特化したものではなかった。「そうした要素を統一する必要があることは明らかで、その最適解がNuke Studioだったのです」とRubio氏は言う。
Nuke Studioの数多くのユニークな特長の中でも、Twin Pinesにとって特に重要なのが、ポストプロダクションの複数のプロセスを1つのツールで制御できる点だ。また、Nuke Studioは、トークンを追加したり、アーティストとアトリビュートを共有したりといった汎用性と柔軟性も備えている。
「Nuke Studioによって、撮影から最終プロジェクトをクライアントに納品するまで、メタデータの流れを連続的に保つことができます」とRubio氏は言う。「プロセスのどの時点でも、情報を損なうことなく編集が行えるほか、オンラインファイル管理システムを使って、Nuke Studioと他のソフトウェアとをシームレスに連携する機能も、日々の業務に多いに役立っています」。
「さらに、Nuke Studioのリアルタイム・シンク・レビューにより、クリエイティブ部門と技術部門が監督と一緒に、すべてのシークエンスを全体の流れの中で共有してレビューし、意思決定を行うことができます」。
Nuke Studioの利点
その他、重宝している機能として、タイムラインでレンダリングしたい部分だけを選択して送信することができるCopy Exporterがある。これは、直接フォルダーに取り込まれ、トランスコーディングの必要はない。
最近手がけたもので、3D環境に2Dのエレメントを統合する複雑なプロジェクトでは、CGチームから受け取ったジオメトリを読み込み、Nukeの3D環境を活用して簡単に2Dエレメントをシーンに組み込むことができた。
Nuke Studioのおかげで、Twin Pinesでは、ショットからのメタデータの抽出を自動化し、オンラインプロジェクト管理システムに直接アップロードできるようにしたため、従来は手動で行われていたメタデータの入力作業が不要になり、効率的なプロジェクト管理が可能になった。
コミュニケーションの主要ツールとしてのNuke Studio
部門間やアーティスト間のコミュニケーションの主要ツールとして、Nuke StudioはTwin Pinesのパイプラインに欠かせない存在だ。レビュープロセスを効率化し、アーティストへの迅速なフィードバックが行えるこのソフトウェアは、特にTwin Pinesの編集部門にとって非常に有用なソフトウェアだ。Nuke Studioによって実現する体型化と自動化は、アーティストにとって非常に重要なポイントだ。「素材に簡単にアクセスできることで、アーティストはクリエティブな作業に集中することができるのです」とRubio氏は説明する。
Twin PinesのVFXスーパーバイザーは、Nuke Studioによって大規模プロジェクトに自信を持って取り組み、納期内に高品質の成果を生み出すことができるようになった。「Nuke Studioとアーティストが使用する通常のNukeとの統合とコミュニケーションは非常にスムーズで、技術的な問題を最小限に抑えつつ納期に間に合わせることができるという安心がありますし、追加のショットのチェックも迅速に行うことができます」とRubio氏は言う。
Twin Pinesの今後
Twin PinesはNukeの機械学習ツールの使用を始めており、CopyCatツールで類似ショットの多いシークエンスでのロトスコーピングを行なっている。また、Nuke 15.0のDeblur/Upscaleノード、そしてオープンソースの機械学習モデルのライブラリにアクセスできるCatteryの統合についても、その有効性を確認したという。
チームは、特に機械学習をベースとしたツールの技術革新に期待を寄せる。「Nuke Studioを使えば、異なるプロジェクトにより高解像度で同時に取り組むなど、新たなチャレンジが可能になるでしょう」とRubio氏は言う。
国際的なVFX業界が成長を続け、成長著しいマドリードのVFXハブへの依存度が高まる中、堅牢でスケーラブルなオールインワンツールが求められている。Rubio氏は、「私たちが直面している多くの新しい課題やプロジェクトに対応するためには、高品質な成果を実現することが可能な信頼性の高いツールが必要です。そのために、Nuke Studioは理想的なソリューションと言えるでしょう」と話す。
Hiero/HieroPlayerとNukeをシームレスに統合し、パワフルで効率的なタイムラインツールでパイプラインを加速化しましょう。
Nukeのタイムラインツールについての詳細はこちらをご確認ください。