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Nukeのパーティクルシステムを徹底解剖

アーティストのワークフローを加速するNukeのパーティクルシステム

NukeXNuke Studioパーティクルシステムは、コンポジット作業に欠かせない強力なツールだ。例えば、銃創から噴き出す血しぶきや池に落ちる雨粒のしぶきなども、Nuke内で簡単に3Dエレメントを作成し、リアルに仕上げることができる。

Nukeのパーティクルシステムを使えば、ショットの仕上げに対するクリエイティブなコントロールがさらに広がる。内蔵のシステムを活用することで、コンポジットの作業中にリアルなパーティクルシミュレーションを自分で作成でき、ヒーローエフェクト以外についてはFXチームに新たなレンダリングを依頼する手間や遅延を避けつつ、最高のリアリズムを追求することができる。

コンポジットでの判断がますます重要になる中、Nukeのパーティクルシステムを活用すれば、どの要素に時間をかけるべきかを見極めるまで余裕を持って待つことができる。特に、時間がなく、FXチームにヒーロー以外のエフェクトで新たなパーティクルレンダーを依頼できない場合に非常に便利だ。

Particle system

Nukeのパーティクルシステムとは

パーティクルシステムは、特定のポイント(パーティクル)を生成し、その動きを追跡する仕組みだ。

パーティクルとは3D座標系に存在する点(ドット)のことで、通常は寿命、サイズ、位置、軌跡といった属性が関連づけられている。

さらに、爆発なら温度、水しぶきなら粘度といった、シミュレーションの種類に応じた追加の属性を設定することも可能だ。

パーティクルシステムでは、すべての情報とチャンネルデータを一定期間にわたって追跡し、ショット内でパーティクルがどのように見えるかを完全にカスタマイズできる。

また、パーティクルにジオメトリの一部や、常にカメラの方を向く2Dスプライトを追加することも可能だ。

たとえば爆発を表現する場合、空間の一点からスタートし、そこから無数のパーティクルが外側に向かって急速に広がる。

各パーティクルに寿命や色、温度といった情報を付加し、そのデータをもとにパーティクルの見た目が決まる。このようにして、コンポジットの最終調整に必要なあらゆる情報が揃い、細かい部分まで微調整することが可能になる。

Nukeのパーティクルシステムの利点

Nukeのパーティクルシステムは、作業中のプレートに合わせて簡単に設定でき、コンポジターにとって非常に便利だ。パーティクルの配置や調整だけでなく、Nukeの3D環境で、カード投影された2D画像やジオメトリに対して、パーティクルの影響や動きを細かく調整することも可能だ。

また、NukeのRelightノードで追加したライティング情報などを使い、パーティクルシステムに与える影響もコントロールすることができる。

ノードを活用してパーティクルの見た目や挙動を調整できるだけでなく、Nukeの他のツールも利用して、テクスチャを適用したり、ショットからデータを取り込んでシステムに反映させることも可能だ。

これは非常に強力な機能で、コンポジットから得た画像情報をもとにパーティクルシステムをコントロールすることで、より自然な統合結果を得られ、作業効率も大幅に向上する。

さらに、ScanlineRenderノードを使用すれば、ノーマルやモーションベクター、サーフェスデータやポイントデータなどの追加データ処理が、アプリケーションを切り替えることなく素早く行える。また、Nuke Python APIを利用して、ワークフローに合わせてパーティクルシステムを柔軟にカスタマイズすることも可能だ。

Particle system

Nukeのパーティクルシステムで作成できるエフェクト

NukeXやNuke Studioのパーティクルシステムを使うことで、3Dアーティストに依頼せずとも、コンポジット作業中にシーンもディテールを簡単に追加できる。

たとえば、雨や雪などのリアルな天候エフェクトをショットに追加することができるだけでなく、パーティクルシステムには他にもさまざまな便利な用途がある。

代表的な使用例としては、レーザーや銃撃の衝撃で発生する火花の表現が挙げられる。その他にも、火の残り火や寒い日の白い吐息、爆発の破片などを生成することもできる。

Nukeのディープコンポジット機能と併用することで、さらに強力なワークフローを構築することも可能だ。

Nukeで生成されたパーティクルにディープコンポジットデータを出力すれば、他のアセットが変更されても再レンダリングせずに正確なホールドアウトを作成できる。

雨のシートや霧のボリュームを作成し、NukeのScanlineRenderノードでレンダリングすることで、パーティクルエフェクトのディープデータが得られる。

この方法により、アニメーションやモデルの変更があった場合でも、ホールドアウトの再レンダリングをせずに、他のディープデータの要素とパーティクルを簡単に統合・合成できる。これにより、変更の可能性があるアセットを扱う際に、効率的で柔軟なワークフローが実現する。締め切り直前まで変更が続くような制作現場に最適で、毎回新しいパーティクルをシミュレートする必要がないため、大幅な時間節約が可能だ。

Nukeのパーティクルシミュレーションの活用

制作の後半やコンポジットの段階に作業が集中するようになってきている。だからこそ、コンポジターがNukeのすべてのワークフローを最大限に活用し、パイプラインを遡ることなく解決策を見つけることがこれまで以上に重要だ。

Nukeのパーティクルシミュレーションは、嵐に巻き込まれた船やアクションシーンでの爆発、砂が舞う砂漠の風景など、さまざまなシチュエーションでリアルなシークエンスを完成させるために必要なあらゆるツールと情報を提供する。

Nukeパーティクルシステムに関するユーザーガイドとチュートリアル: