Katanaによる既存ワークフローの効率化
制作サイクルの短期化とコンテンツ、とりわけエピソードコンテンツへの需要の高まりが、パイプラインに影響を与えていることは周知の通りだが、アーティストや制作スタジオは、この影響をこれまで以上に受けており、業務の改善と効率化に役立つツールや機会を絶えず求めている。
Foundryでは、アーティストがパイプラインに生じるさまざまな問題の調整ではなく、クリエイティブな作業に多くの時間を費やせるように、常に改善策を模索している。Katanaに関する取り組みもその一環だ。
Katanaの継続的な開発は、制作スタジオやアーティストが、より迅速かつ効率的に作業を行うための新たな方法が常に存在することを示している。 Katana 5.0では、Foresight+やKatana<>Nukeブリッジなど、パイプラインの効率化と生産性の向上を図る主要機能が追加された。
もちろん、ワークフローとパイプラインに関する課題は立場によってそれぞれだ。アーティストであれば、与えられた仕事をクリエイティブにこなし、日々の管理タスクに費やす無駄な時間は削りたいと思うであろうし、スタジオにとっては、チームが迅速かつ効率的に作業できるようにする一方で、長期的な安定性を考慮する必要がある。
Katanaはアーティストとスタジオの双方にメリットをもたらし、ニーズにはフレキシブルに対応することができるので、パイプラインに摩擦が生じることはない。ここでは、Katanaによる具体的なワークフローの支援、パワフルなルックデベロップメント/ライティングツールであるKatanaの導入に際して考慮すべき点について説明する。
パイプライン摩擦の解消
効率的なパイプラインを実現するうえで、部門間の連携とコラボレーションは不可欠だ。Katanaがスタジオワークフローに統合される際には、さまざまな部門のスーパーバイザーからある程度の理解を得る必要がある。Katanaは学べば学ぶほど、使えば使うほど、成長機会が明確になり、異なる部門間のコミュニケーションがパイプラインの効率化を促進する。ルックデベロップメント/ライティングアーティスト、レンダリングスペシャリスト、エフェクトアーティストなど、Katanaを使用して作業を行うあらゆる職種の人にとって、パイプラインの効率化は重要なテーマだ。
Nukeとの相互運用機能は、部門間のギャップを埋めるのに役立つ。Nukeブリッジの搭載により、ライティングアーティストは、Katanaから送信したレンダーイメージをNukeのコンプを経てKatanaに戻すことができるようになった。これによりライティングの効果を最終イメージに近い状態で確認することができ、その結果、少ないイテレーションでより迅速かつ情報に基づいたライティングを行い、ショットやプロジェクトを確実に、そして時間通りにシームレスに仕上げることができる。
進化し続けるKatanaのUSD機能は、パイプラインの摩擦を取り除き、チーム間のコラボレーションを促進することを目的としている。アーティストが最終的なライティングデザインを早い段階で確認することができ、並行してチームがイテレーションを行うことでスピーディーに作業を進め、最終的なイメージに迅速に到達することができる。また、Hydraを搭載したビューポートも継続的に進化を続けている。Katana 5.0では、レンダーベンダーからのサポートにより、レンダーデリゲートのサポートが追加された。GLベースかパストレースのビューアを選択できるようになり、ライティングセットアップのより詳細なプレビューが可能になった。
Katana導入時に知っておきたいこと
Katanaのパイプライン導入を検討する際には、誰が関わるのか、関与に必要な時間、効率化の効果をどう評価するのかの3点を考慮する必要がある。Katanaはそれぞれのスタジオの状況に応じて最適解を模索することができる柔軟性を備えている。
導入時は小規模から始め、必要に応じて段階的にパイプラインとの統合を進めていけば、パイプラインの進行や変更に合わせて、効率化を確認しながら理解を深めることができるし、前もってKatanaを統合し、パイプラインの大部分を最初から稼働させることに時間をかけることも可能だ。どのようなアプローチを選択するにしても、パイプラインに合わせた最適なセットアップ方法を決めるには、現場のキーパーソンを巻き込まなければならない。
パイプラインの構築において、テクニカルディレクターはKatanaのセットアッププロセスを率いる重要な存在だ。CGスーパーバイザーも、クライアントやクリエイティブステークホルダー、社内の各チームとの橋渡し役として、Katana統合の実効性を十分に理解する必要がある。また、導入を成功させるためには、ルックデベロップメントやライティングなど、各部門のスーパーバイザーやリードも欠かせない。
モデリングやテクスチャリング、コンポジティングなど、他の部門に渡ってKatanaが関わることがあるため、各スーパーバイザーの理解も必要だ。例えば、モデリング部門は、Katanaの可能性を十分に引き出してルックデベロップメントを円滑に進めるうえで、何が必要なのか知っておかなければならない。これは、誰もがすぐにKatanaを使いこなせなければならないということではなく、他部門がKatanaの長所と強みを認識するということだ。
Katanaの理解を深めると、ROIや生産性といった導入による直接的な利点に加えて、より多くのメリットを得ることができるようになる。既存のパイプラインの中でツールの機能性を徐々に理解して作業を効率化し、継続的にワークフローに合わせて調整するうちに、いつの間にか当初の2倍の生産性が実現されているといった具合だ。
アーティストは、Katanaでの作業を効率的に進めるために、自分たちに何が期待されているのか、どのような理由でどのような選択がなされたのかについて、Katanaパイプラインのセットアップと統合に携わった人たちから説明を受け、理解しておく必要がある。
事前のトレーニングや統合時のアーティストからの主な質問には、次のようなものがある。
- アセットの参照方法について
- アセットのパブリッシュ先について
- Katanaと既存ツールとの連携方法について
トレーニングを受けてから1週間もたたないうちに、ソフトウェアを快適に操作できるようになるスタジオもあり、こうした疑問が解決されれば、アーティストはすぐにKatanaで作業を開始することが可能だ。
導入後の活用法と最適化
ここでは、Katanaの導入によるパイプラインの摩擦軽減や、ワークフローの効率化について説明してきた。第二弾の記事では、Katanaの活用法や時間と効率を最適化する機能について、より詳しく説明する。
Katanaとその導入メリットの詳細については、Foundryまでお問い合わせください。既存のパイプラインにKatanaを導入するための最適な方法について、エキスパートがいつでもご相談に応じます。また、30日間の無料トライアルをダウンロードして、実際にKatanaをお試しいただくことも可能です。